※ネタバレ注意です※
今更ながら、『BANANA FISH』を見た。
このアニメは(多分)女性向けだと思うが、過激な描写は我々男子にとっても垂涎の的だ。
本作は「バナナフィッシュ」たるものを追い求める、という至ってシンプルなストーリーだ。しかし、「バナナフィッシュ」の正体よりも、その過程で絡み合う人間関係が、残酷かつ美しい。
主人公のアッシュ、なんとも悲劇的な青年だ。幼くして美少年であったが故にレイプをされ、銃を握り、マフィアのボスであるゴルツィネの思うままに育てられた。
皆、無垢な宝石を傷つけていく。それでもアッシュは、その傷を隠しながらアングラな世界で生きていた。
しかし、英二という青年と出会うことで、彼の人生に一筋の光が差し込む。英二は、何の対価も求めることなくアッシュを癒す。まるで、傷ついた宝石を優しく撫でるかのように。いつしかアッシュも彼の無償の愛を求めるようになった。
だが、英二の存在が、やがて無敵であったアッシュの唯一の弱点と化した。帰国する英二から貰った手紙を読み感慨にふけるアッシュは、道端でラオに刺されてしまう。
手紙の最後には、こう書かれていた。
「My soul is always with you. (僕の魂は、いつも君と共にある)」
図書館で事切れたアッシュの死に顔は、最高に穏やかであった。司書が寝ていると勘違いするほどに。
それは英二の思いを最後に知れたからか、悲劇の連続であった"生"からようやく解放されたからか、あるいはその両方か、私には分からない。
いずれにしても、アッシュは死ぬことに一切の後悔はないだろう。
天国で、アッシュは日本語を勉強しているのだろうか?
このセリフ、私も女の子の口説き文句として今後使います。重いか。
個人的に、ショーターが一番気になるキャラだ。
ショーターは「バナナフィッシュ」を強制的に投与されて無惨な最期を遂げた。彼の性格は非常に明るく社交的で、閉塞感に包まれた世界で異質な存在であっただけに、彼の死はなかなかキツいものがあった。
では、取り残された彼の姉は一体どうなってしまうのか。彼女のアフターストーリーも是非見てみたい。
それにしても、本作の最終回のタイトルにも使用されている『ライ麦畑でつかまえて』、この小説は何かとアニメ作品に関与している気がする。
『攻殻機動隊SAC』であったり『天気の子』であったり・・・
一度読んでみようかしら。
とにかく、アメリカに行くときは上の口と下の口には気を付けましょう。
ゴルツィネが、いつどこで狙っているか分かりませんからね。