5月25日、『鬼滅の刃』が華々しくクライマックスを遂げた。昨今ジャンプ作品の人気が久しく燻っていた中、これほど売れた作品は珍しい。
オリエンタルラジオの中田敦彦氏など、多くの方々が「なぜ『鬼滅の刃』は売れたのか」について分析しているので、今回私は「『鬼滅の刃』が遺したもの」について語ろうと思う。
アニメへの認識の変化
大衆は、特に深夜アニメをどこか色眼鏡で見ていたはずだ。メディアも、ある事件の犯人とアニメを関係性を執拗に強調していたことがある。
しかし、今回の一大ムーブメントは、メディアも積極的に取り上げた。その影響で、アニメ・漫画オタクでない人にもこの作品が普及した。本作はグロテスクな描写もあるが、女性や子どもまでもが、この世界観に魅了された。
やはりネットの台頭によって、ネットの文化が普及したのだ。『鬼滅の刃』の人気は、それを完全に具現したものであるといえる。
ネット文化の浸透はこちらでまとめているので、是非ご覧ください。
キャラ文化の再確認
アニメは専ら、キャラを中心として放映されることが多い。要因は様々あるが、ドラマのような実写と比べて、アニメ制作は資金や労力、時間がかかる。その資金をキャラクターグッズや声優のイベント等で回収する。昨今は違法アップロードもあるため、制作会社はこのような方法で利益を得ることが往々にしてある。
これが、キャラ文化の始まりだった。ストーリーよりもキャラを重視したことで、興業化は成功し、世界的に日本のアニメは人気を博した。
そして今回の『鬼滅の刃』の流行も、やはりキャラクターを中心としている点もある。
以前にも『進撃の巨人』のリヴァイ兵長や『ヒロアカ』の爆豪のような、比較的ストーリー性のある作品でも圧倒的に人気なキャラが際立って存在していた。そして、『鬼滅の刃』にも同じ現象が起こっている。(善逸など)
ネットの登場で、Twitterやpixivでそのキャラを描いた画像が拡散される。それがより一層キャラ文化を浸透させ、ついに大衆にまで行き渡ったのだ。
(とはいっても、大衆文化であるテレビドラマも、ストーリーよりキャスト目当てで視聴する人も多いので、大衆も潜在的にキャラ文化と似た性質を持ってはいたが)
違法アップロードの横行
勿論、これは『鬼滅の刃』だけの問題ではなく、全ての作品に通じるものだ。しかし、『鬼滅の刃』は需要が高いためか、無断転載の数はより多く見受けられた。
YouTubeではアニメより漫画の無断転載が多かったが、いずれにせよ無断転載や海賊版は著作権法に違反しているので、いずれ出版社が何らかの処置を行うだろうが、今後も付きまとう課題となるだろう。
というより、検索候補に出るほど無断転載の漫画を視聴していたことに驚愕した。
民度
さて、人気になればなるほど付随される問題。それは「民度」だ。
よく、「『鬼滅の刃』のファンは民度が悪い」と耳にする。他の作品を排斥し、『鬼滅の刃』を一番だと豪語しているという。
確かに全ての作品のファンに秩序を乱すものは一定数存在し、分母が多ければそれもおのずと増える。しかし全体から見れば彼らはマイノリティであり、悪目立ちしているだけなので、彼らを批判するならまだしも、『鬼滅の刃』を批判するのはお門違いだ。
これは正直どうしようもないが、実際作品の評判を落としかねないので、ファン同士で注意し合うことが重要である。
すなわち、我々ファンの態度も改めるべき時なのかもしれない。
おわりに
民度の問題も、逆に考えれば、新規のアニメファンが増えたといえる。
『鬼滅の刃』の流行で、アニメの大衆への浸透は明白となった。アニメは今重要な局面に立たされているのかもしれない。
今後これらの課題を解決しながら、新規のアニメファンを取り込むか否かが、命運を左右しうる。
私は、アニメがより良いものになることを切に願う。
間違いがございましたら、何なりとご指摘ください。
それでは。